大字五里霧ノ中

Insidious Dream

曲名 Insidious Dream
アーティスト名 nadeco

僕がnadeco氏の作る楽曲、ひいてはマキナというジャンルに興味を持った曲1)
そして、僕の心の中のテーマ曲の一つ。

「哀愁系ハードコア」のコンピレーションアルバムを出していたレーベル『Druggy's Acid Rack』。
その「Pain Continues」というアルバムに収録されていた。
その中でも妙に惹かれた曲だった。

どういう意味だろう、って調べたところ出てきたのは「Magic: The Gathering」のカード。
日本語訳は「腹黒い夢」。フレーバーテキストは「チェイナーは究極の知識を夢見る。」

――腹黒い夢

この曲を聴きながら「腹黒い夢」について考えていた。僕にとっての「腹黒い夢」とは何だろうか。

丁度その頃、自分は「車載動画」にハマっていて、動画も作るようになっていた。
何かを作ってみたくて、でも中々難しそうで、自分の中で手が出せそうだったのが「車載動画」だったのかもしれない。
単品系の作品を何個か挙げて、いよいよ長編に挑もうとし、挑んでいた頃だった。
何話か進めていたところで、ふと脳裏をよぎった。

「僕の“腹黒い夢”って『何者かになりたい』ということでは。その為に車載動画を作っている。」

自分への皮肉を込めてこの長編のエンディング曲に「Insidious Dream」を使うことが決まり、動画のイメージも朧気ながら出てきた。
あとは完成させるだけ。

……完成できなかった。

仕事が段々と忙しくなり、動画を作る余裕が無くなり間が空いてしまい、
走った当時の記憶も朧気になり、製作意欲もなくなってしまった。
暫くは車載動画を細々と作っていたけれども、仕事が年中繁忙期状態となったが故に挫折した。
その後も他の趣味に手を出してみたりしたものの、仕事に押し負けて止まってしまった2)

今では「諦め癖」「挫折癖」までついてしまっている。
他人の、色々と活動する姿を横目に見ながら、自分はなにもできない人間だと、自分を呪っている。

そして、この曲が、「何も出来ない、何者にもなれない」僕への曲となった。

nadecoさんは「この曲は元気になるタイプの曲ではないけどね」と言う。
別に元気になる必要は無い。僕に寄り添ってくれればそれで良い。

イベント等でnadecoさんにお会いしたときに「僕が死んだとき、この曲を流して欲しい」とかお願いをしている3)
きっと死ぬまで、「何も出来ない、何者にもなれない」だろうから。

1)
ただ、「マキナ≒哀愁系ハードコア」、という印象を持ってしまっているのでそれはそれで微妙な気がする。
2)
仕事の忙しさの所為にしてはいけない、というのは正論だけれども。
3)
「どんな顔して葬式に出れば良いのか」と困惑されたけど、それはそう。